肉、魚、野菜の微生物管理をするにあたって、大切な”前提条件”があります。それは、死んでいるもののか?or 生きているもののか です。
動物にしても植物にしても、生死に対する定義は意見が分かれるところがあり、当ブログにはそこを明確にするほどの力はありません。なので今回は、あくまで食品として取り扱うにあたって生きているか、死んでいるかについて触れていきます。
例えば、食品工場で肉をスライスするとします。その肉は生きているでしょうか?それとも死んでいるでしょうか?
答えは、死んでいるです。というよりも、”細胞が死んでいる”という方が正しいかもしれません。これは、たいていの場合、魚も同様です。
では、同じ工場で野菜をカットするとします。カットした野菜は生きているでしょうか?それとも死んでいるでしょうか?
大抵の場合、答えは、生きているです。これについても、”細胞がまだ生きている”という方が正しいかもしれません。
なぜ”細胞が”という書き方をするかというと、野菜で見ていくと分かりやすいかもしれません。
食品衛生の重要性が高まっている現代、食品にいかに微生物が付いていないか?が年々益々求められています。
それは野菜についても同様です。
そのため、食品工場では、過剰な濃度の殺菌水などを使用して、野菜に対して殺菌が行われているケースも少なくありません。そうなった野菜はどうなるか?
作り立ての菌の数は凄く減るかもしれません。ただし、過剰な殺菌により、細胞が弱ってしまい、体力のない野菜になってしまいます。歯ごたえも良くなく、微生物に対する耐性も低い野菜は、想定していたよりもその後の賞味期限が伸びなくなる可能性もでてきてしまいます。
このようなことは、肉や魚ではありません。もちろん、包丁やまな板からの菌付着や、酵素の変化によって、個体に影響はあるかもしれません。しかし、例え、丸で仕入れた肉を、スライスしても、肉自体が生を持って自発的に変化を起こすことはありません。
そのように考えますと、いかに私たちが、食べ物を通じて生死に関わっているのかを実感する次第です。